2.27 sat − 4.16 sat 2016

衣真一郎　髙木大地　花木彰太　前川祐一郎　横野明日香corner

　「corner」という展覧会名は、90 年代のロックバンドpavement のアルバム「the brighten the corners」から採ったものです。アルバムを聴きながら、隅を照らすとはどういうことだろうと考えを巡らせて、その時に探していたこの展覧会のための受け皿となりうる言葉としてしっくりとくる部分がありました。そこには、ひとつの大きな理念を立てそれを目標とする展覧会ではなく、現場において個々の作品の形式は異なりながらも制作態度において共鳴している部分が、それぞれ息づく活発な場（それぞれが請け負うコーナー）を示すような受け皿としての展覧会であればという思いがあります。
　その考えは、古くは最澄によって唱えられた『山家学生式』の冒頭における“一隅（いちぐう）を照らす”という言葉に繋がります。その意味は、一人ひとりがそれぞれの持ち場で最善を尽くすことによって、自分自身や周囲、また社会までを照らす。というものです。その考え方は現代の私たちがおかれている状況においても、国の代表が決めた文言に沿って、その下に自分たちの活動があるという消極的態度というよりは、社会の隅にいながらも個々の資質を発揮しなくては今日における芸術活動は成り立たないという決意として有効である気がします。
　また単純にキャンバスのコーナー（角）や図像のエッジを示す言葉として、その境界への意識とその先、曲がり角を越えたらなにがあるのか、絵画表現の可能性の次の展開に向かう行為のメタファーとしてもcorner は存在するでしょう。
前川 祐一郎

◯トークイベント
「cornerに寄せて」2.27 sat.
司会／前川祐一郎
衣真一郎、横野明日香
髙木大地、花木 彰太

「cornerの先」4.16 sat.
17:00 –19:00
前川祐一郎、 佐藤 克久（美術家）、鈴木 俊晴（豊田市美術館学芸員）
トーク終了後、クロージングパーティー